2026年1月30日、総務省から発表された最新の「労働力調査」の結果は、日本の労働市場が「歴史的な転換点」に達したことを示しています。
労働力人口とは 15歳以上の人口のうち、実際に働いている「就業者」と、仕事を探していてすぐに働くことができる「完全失業者」を合わせた人口のことです。つまり、その国の経済活動を支える「現役の働き手の総数」を指します。
1. 統計が示す「過去最高」の正体
最新の統計によれば、2025年平均の労働力人口は7,004万人と、調査開始以来初めて7,000万人の大台を突破しました。
- 労働力人口: 7,004万人(前年比26万人増。過去最多)
- 就業者数: 6,828万人(前年比47万人増)
- 完全失業率: 2.5%(2025年平均。依然として低水準)
この数字だけを見ると、働く人が増えて活気があるように見えます。しかし、その実態は「女性」と「65歳以上のシニア層」の労働参加が限界まで進んだ結果です。人口減少の中で、これまで市場に出ていなかった層が「出尽くした」状態に近いのではないか、と考えます。
2. 徳島の労働力は「5年以内」に頭打ちとなる
全国的には過去最多を記録しましたが、ここ徳島においてはこの2025〜2026年が「最後の山」となり、今後5年以内に労働力の供給が限界に達する公算が大きいです。その根拠は以下の通りです。
■ 「働ける人」が既にいない
徳島県の完全失業率は例年2%台前半で推移しており、全国平均を下回る水準です。これは「働ける状態の人は既にどこかの企業に所属している」ことを示しており、新たな人材確保の余地が極めて少ないと推測されます。
■ 現役世代の急激な減少(2023年推計に基づく)
最新の将来推計人口(IPSS)によれば、徳島県は若年層(15〜44歳)の流出と減少が極めて顕著です。2030年に向けて、県内の多くの地域で生産年齢人口(15〜64歳)の比率が50%を割り込むことが見込まれており、今後5年で「働き手そのものが物理的に消えていく」フェーズに入ると考えられます。
■ 最低賃金の「1,000円時代」突入
2026年1月現在、徳島県の最低賃金は1,046円(時給)に達しています。政府が「2030年までに1,500円」を目指す方針を掲げる中、労働力は「希少」なだけでなく「非常に高価」なものへと変質していく流れが避けられないと考えます。
3. 「希少で高価」な時代を生き抜くための準備
労働力が希少となり、一人あたりのコストが上がることは、小規模な事業所にとって死活問題です。今のうちから以下の準備が必要であると考えます。
- 「採用」から「定着」への完全シフト 新しい人を採るのが困難な時代、今いるスタッフに「ここで働き続けたい」と思ってもらうことが最大の防衛策です。育児や介護、通院など、個々の事情に合わせた柔軟な管理を仕組み化し、「小規模だからこそできる融通」を強みに変えていくべきだと考えます。
- 人件費増に耐えうる「利益率」の向上 最低賃金が上昇し続ける中で利益を確保するには、薄利多売からの脱却が不可欠です。提供するサービスや商品に独自の価値を加え、適正な価格転嫁を行うことが、スタッフの給料を守り、経営を安定させる道だと考えます。
- 「人に頼りすぎない」仕組み作り(DXの活用) 10人の仕事を10人でやる体制は維持できなくなります。予約管理、キャッシュレス・自動精算、AIによる事務作業の自動化など、「機械でもできる仕事」を徹底的に切り出し、スタッフを「人にしかできない、顧客満足に直結する仕事」に集中させる環境を整えるべきだと考えます。
4. まとめ
- 労働力供給の限界: 2025年の「7,000万人突破」は増加の終わりを告げるサインであり、徳島では今後5年でさらに人手不足が深刻化する。
- 人材の希少価値化: 働き手は「いて当たり前」のものから、ダイヤモンドのように「希少で高価」な経営資源へと変わる。
- 経営スタイルの転換: 「安価な労働力」を前提としたモデルは立ち行かなくなる。定着率の向上と、IT・DXによる徹底した効率化が生存条件となる。
- 予測に基づく早期着手: 5年以内に訪れる「物理的に働き手が消える」事態を想定し、今からビジネスモデルの再構築を行うべきである。
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