前回は翻訳AIの線引きを書きました。今回は制度の話です。技能実習制度が2027年4月1日に「育成就労制度」へ切り替わります。徳島は、外国人労働者に占める技能実習の比率が全国の2倍を超える県です。今年のうちに何を考えておくか、整理してみます。
先に、要点を三つ
- 切り替えは2027年4月1日。施行前の申請はすでに始まっています。 監理支援機関の許可申請は今年4月から、育成就労計画の認定申請は9月1日から受付が始まりました。準備の時計はもう動いています。
- 徳島は技能実習の比率が44.1%。全国の19.4%の2倍以上です。 県内で外国人を雇う事業所の多くにとって、これは他人事の制度改正ではないと考えられます。
- 本人の意向で職場を移れる仕組みが入ります。 「来てもらう」から「選ばれ続ける」へ。多言語での説明や相談の窓口は、AIで底上げできる部分だと私は見ています。
何が変わるのか
育成就労制度は、技能実習制度を「発展的に解消」して創設されるものです。目的が変わります。技能移転による国際貢献から、人手不足分野での人材の育成と確保へ。
仕組みの骨格は、3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで育て、その先の特定技能へつなぐ、という一本の道筋です。受け入れ分野は特定技能の分野と原則そろえられます。監理団体に当たる組織は「監理支援機関」として許可制になり、これまでの監理団体も新たに許可を受けなければ業務を続けられません。計画は外国人一人ごとに作り、新設される機構の認定を受けます。
そして大きいのが、本人の意向による転籍です。同じ受け入れ先で一定期間(分野ごとに1年から2年)働き、技能と日本語の試験に合格するといった要件を満たせば、本人の希望で職場を移ることができます。技能実習では原則として認められていなかった部分です。
徳島で影響が大きい理由
徳島労働局のまとめ(令和7年10月末時点)では、県内の外国人労働者7,324人のうち技能実習が3,231人、44.1%を占めます。全国の構成比は19.4%ですから、2倍を超えます。産業別では製造業が31.6%と最も多く、医療・福祉、農業と続きます。
この県で働く外国人の半数近くが、切り替えの当事者になる計算です。そして転籍が認められるということは、県内の他の事業所、あるいは県外の都市部へ人が動く可能性が制度上開かれる、ということでもあります。賃金水準で都市部と競うのが難しい地方にとって、これは正直、楽な話ではないと思います。
今年のうちに考えておきたいこと
まず、いま受け入れている技能実習生の扱いです。施行日時点で技能実習を行っている人は、そのまま技能実習を続けられます。次の段階への移行も要件を満たせば可能ですが、技能実習から育成就労へ乗り換えることはできない設計です。手元の実習生が何年目で、いつまでどの制度で働くのかを一覧にしておくと、見通しが立ちやすいのではないでしょうか。
次に、来年4月以降に新たに受け入れるなら、育成就労計画の認定申請が要ります。受付は9月1日に始まっており、開始予定日の数か月前に申請するのが目安とされています。ただし分野によっては運用要領や協議会の加入手続が準備中のものもあるようです。監理団体と早めに段取りを確認しておく、というやり方が考えられます。
そして三つ目が、転籍を前提にした職場づくりです。移れる仕組みがある以上、残ってもらえる理由を用意する。賃金だけではなく、仕事の説明が母語で理解できるか、困ったときに相談できる相手がいるか、評価の基準が見えるか。手順書をやさしい日本語に書き直して多言語化する、相談窓口の一次対応を多言語のチャットで受ける、といった部分はAIで底上げできる領域だと私は考えています。人は、その先の「話を聞く」ところに集中する。そういう分担が現実的ではないでしょうか。
まとめ
- 切り替えは2027年4月1日。計画の認定申請は9月1日から受付が始まっている
- 徳島は技能実習比率44.1%。県内で働く外国人の半数近くが当事者
- 転籍が開かれる分、「選ばれる職場」づくりが課題。説明と相談の多言語化はAIで底上げできる
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参考(一次情報)
- 出入国在留管理庁「育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)」: https://www.moj.go.jp/isa/content/001452485.pdf
- 出入国在留管理庁「育成就労制度に係る施行日前申請」: https://www.moj.go.jp/isa/03_00174.html
- 徳島労働局「外国人雇用状況の届出状況(令和7年10月末時点)」: https://jsite.mhlw.go.jp/tokushima-roudoukyoku/newpage_02052.html
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。制度・統計の記述は2026年9月時点の公表資料によります。分野ごとの要件や手続は、所管の公表資料でご確認ください。
