前回は全国の外国人労働者が約204万人に達したという厚生労働省の調査を紹介しました。今回は徳島に目を向けます。「人が採れない」という実感は、数字で見るとどれくらいの規模で、いつまで続くのか。公的統計だけを材料に確かめます。

先に、要点を三つ

  1. 徳島の働き手(15〜64歳)は、2025年から2035年の10年で約5万人、13.9%減ります。 年に約5,000人ずつ減る計算です。
  2. 県内の外国人労働者は10年で2.4倍(7,324人)。雇っている事業所の3分の2は従業員30人未満です。 大企業の話ではなく、小さな職場の日常になりつつあります。
  3. 今のペースが続けば、2030年代には「職場の20人に1人が外国人」に届きます。 それでも減少分は埋めきれないので、外国人を雇うことと、少ない人数で回すこと(省力化)は両輪になります。

働き手はどれだけ減るのか

国立社会保障・人口問題研究所の推計(令和5年)から、徳島県の生産年齢人口を抜き出しました。

年 生産年齢人口 2020年=100
2020年(実績) 395,215人 100
2025年 364,116人 92
2035年 313,373人 79
2050年 224,049人 57

2050年には2020年の6割弱まで減ります。総人口より働き手の減り方のほうが速いのが徳島の特徴です。

「女性や高齢者にもっと働いてもらえば補える」という見方もあります。実際、直近の国勢調査では県の労働力率は上がりました。それでも働く人の総数は5年で約1万6千人減っています。徳島はすでに「働ける人が働いていない」段階ではなく、「働ける人そのものが減っている」段階にあります。

外国人労働者はどれだけ増えているのか

徳島労働局の届出状況(令和7年10月末)では、県内の外国人労働者は7,324人で過去最多、前年から13.5%増えました。2015年の3,086人から10年で2.4倍です。伸びているのは特定技能で、4年で10倍になりました。産業別では製造業、医療・福祉、農業の順で、医療・福祉は4年で2.3倍です。

雇用している事業所は1,400か所。そのうち904か所、64.6%が従業員30人未満です。

「当たり前」になるのはいつか

県内で働く人のうち外国人が20人に1人(5%)になる時期を、外国人労働者が今後も一定の割合で増えると仮定して試算しました。控えめに年7%の伸びなら2038年頃、直近と同じ年13.5%なら2032年頃です。どちらにしても2030年代で、10年後ではなく「数年以内」に職場の景色が変わり始めます。

ただし、外国人労働者の増加は直近で年872人。働き手の減少(年約5,000人)の2割弱です。伸びが続いても2035年時点で減少分の4割ほどしか埋まりません。外国人雇用が広がっても、人手不足そのものは解消しないというのが試算の示すところです。

なお、この試算は制度の変更(技能実習から育成就労への移行)や為替、県内の賃金水準で大きく変わります。予言ではなく、時間軸の目安としてお読みください。

経営者が今から準備する三つ

  1. 受け入れ体制を先に整える。 雇用状況の届出、在留期限の管理、資格の移行や更新のスケジュールは、1人目の段階で仕組みにしておくと2人目以降が楽になります。
  2. 多言語化を「困ってから」ではなく「採用前」に。 労働条件通知書や就業規則の要約、安全衛生の指示は、AIで下訳して人が数字と期日を確認する流れで現実的な費用に収まります。
  3. 手続きと教育をAIで軽くする。 期限の監視、多言語マニュアルの作成、日本語学習の補助はAIの得意分野です。当事務所も自らAIで労務を回す実験を続けており(実験宣言)、人は判断と声かけに集中し、監視と翻訳はAIに任せる設計を試しています。

次回は、外国人スタッフとの日本語コミュニケーションが「問題でなくなる」日はいつ来るのか、翻訳AIや多言語マニュアルの現在地を確かめます。

「外国人を初めて雇うので手続きの全体像を知りたい」というご相談は、当事務所の無料相談をご利用ください。

参考(一次情報)

  • 国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(令和5(2023)年推計)」: https://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson23/t-page.asp
  • 徳島労働局「徳島県における『外国人雇用状況』の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」: https://jsite.mhlw.go.jp/tokushima-roudoukyoku/newpage_02052.html

※本記事は一般的な情報提供であり、個別の法的助言ではありません。将来推計は前提により変わります。本文の試算は当事務所が公的統計をもとに単純な前提で行ったもので、公的機関の予測ではありません。数値は2026年9月時点の公表資料によります。